気をつけなければならないものに熱があります。
インプラント体を埋入するために、事前に骨にドリルで穴を空けます。一度でうまく空けばいいですが、骨が硬かったり、適切な位置にドリルを当てなかったことで、なかなか穴が空かないこともあります。この場合、ドリルを骨の上で空回転させると先端に熱を持ちます。
このとき、ドリルの温度が47℃を超してしまうと、骨がくっつかなくなります。47℃以上では骨の細胞が熱によって死んでしまいますので、オッセオ・インテグレーションが起こらなくなり、チタンのインプラント体といえども抜ける可能性があります。そのために新しいよく切れるバーで、ドリリングスピードをコントロールしながら、常に低い温度で回転させることで熱を持たせないようにする必要があります。と同時に、冷却した生理食塩水でドリルと術部を洗いながら形成しています。
インプラント体と生体がくっついてくれることを願い、以前はインプラント体そのものを生理食塩水で洗い冷却しながら埋入する方法がとられていたそうですが、現在は本人の血液をインプラント体につけて埋入するようになっています。といいますのも、血液がついているとオッセオ・インテグレーションが早く行われることがわかってきたからです。
ドリルが熱を持たないようにゆっくりしたスピードで、血液をつけながら埋入するというのがサージカルテクニックとして大切です。