歯はひとまとまりで働いている

大人の歯は、親知らずを除くと、上下それぞれに14本、計28本あります。歯は1本1本が独自に働いているわけではありません。上下それぞれで歯列と呼ばれる一列のまとまりを作り、さらに上の歯列と下の歯列がうまくかみ合うことによって、かむときにかかる力を分散するなど歯の働きを支えています。歯が一本でも失われることは、上下のかみ合わせが壊れてしまうことです。その結果、歯が本来持つ働きである。1.かむ力、2.正しく発音する力、3.食べ物や飲み物を飲み込む力、4.見た目の美しさ、のいずれか、あるいはいくつかに、支障が出てしまいます。

例えば、前歯が一本でもなくなれば、見た目が悪いだけでなく、食べ物をうまくかみ切れなくなります。歯のすき間から空気がもれるようになるので、発音にも影響します。
人前で口を開けて笑えなくなったために、仕事や人づきあいに支障が出てしまう人もいます。もし、2本ある前歯の両方を失ってしまった場合は、顔の形さえ変わってしまいます。一方、奥歯が抜けた場合は、抜けた方の側では食べ物をかみ砕きにくくなってしまいます。その結果かみ砕きやすい抜けていない方の奥歯ばかりを使うことになり、かみ合わせのバランスが崩れてしまいます。
下の奥歯が抜けた場合は、その歯と噛み合っていた上の奥歯が、次第に下の方に出っ張ってきて、歯の根が露出してしまうという問題もあります。
そのほか、食べこぼしをするようになってしまったり、上手に飲み込めない、未消化の食べ物が胃腸に流し込まれて内臓に負担がかかるなどといったトラブルが引き起こされることも考えられます。