インプラントの世界第一号は犬だった2

治療に関しては、すべて成功の基準が必要です。科学的に論拠があるかどうか、治療結果が追跡調査されて予知性があるかどうかが一番の問題です。かつてのインプラント治療は予後も悪く、長くは使えないために普及しませんでした。

現代のモダンインプラントについては、1982年にカナダのトロントのミーティングで成功の基準が決められ、それに基づいて治療が実施されるようになっています。
骨にチタンがしっかりと付着することを発見したブローネマルク博士は、これを何かに使えないかと考えました。最終的に歯の根をチタンで作れば骨にしっかり付着するので、歯科の欠損治療に使えるのではないかと思いついたのです。

そこで、実験の第一弾として、ビーグル犬の歯にインプラントを埋入しました。
最初のインプラントは、現在のように骨に埋めて歯肉を貫通させるタイプではなく、歯肉の上に馬の鞍の形のようなチタンを乗せて、その上に歯を被せるというものでした。その方法でも歯肉としっかりくっついたので、いちおう成功でした。

そのため、現在のような骨にチタンのねじ型のインプラント体を埋入してから歯を取り付けるという方法で実験を行いました。
犬の顎の骨とチタンは本当によくくっついたのです。