インプラントについて知ろう①

3つの治療法の選択肢

もしあなたが歯周病や虫歯、突然の事故などで歯を失ってしまったら、どんな治療法を選びますか?
歯を喪失した場合の治療を歯科の領域では「補綴治療」といいます。
補綴治療には、「入れ歯(部分入れ歯、総入れ歯)」「ブリッジ」「インプラント」の3つの選択肢があります。それぞれの仕組みと長所・短所をご説明しましょう。

●部分入れ歯の仕組みと特徴

歯の欠損が1本だけから、上顎、下顎それぞれで歯が1本でも残っている場合に適応となるのが「部分入れ歯」です。
入れ歯の土台にはレジン(樹脂)製の「床」という覆いがついており、入れ歯から出ている金属のバネ(クラスプ)を隣接した天然歯にひっかけて鉤歯(こうし)として固定するという仕組みになっています。

長所としては、健全な歯を削らないですむことや、簡単に取りはずしができるので手入れが簡単な点があげられます。
また、比較的短期間で治療がすみ、費用面では健康保険が適用されるものと適用されない自費診療とがあり、選択ができます(素材などによる)。
最近では、金属のバネがなく、鉤歯に優しいノンクラスプ義歯(自費診療)などが開発され、有用性が増しています。

一方、短所は、異物感があり、口を開けたときにバネが目立つという点でしょう。
また、入れ歯の取り外しをする際に、バネをかけた鉤歯のエナメル質がはがれやすく、さらに、入れたり外したりを繰り返すうちに、鉤歯がぐらつき始め、やがて歯が抜けてしまうおそれもあります。

インプラントでこう変わります⑥

インプラントは健康な歯に悪影響を及ぼしません。
被害を拡大することが一切なく、自分の歯のように長く安定的に使うことができるのです。インプラント治療をする理由はここにあります。

さらに、インプラント治療のいいところは、顎の骨の吸収を防いでくれることです。歯を失うと、歯を支えている歯槽骨は、お役目が終わったということで、吸収(溶けてなくなる)されてしまいます。これは誰にでも起こる生理現象なのです。
この現象にともなって、顎の骨は次第にやせていきます。するとどうなるか。歯がない老人特有の顔になってしまいます。歯を失うと、急激に老けた印象になるのは、そういうわけなのです。インプラントを埋め込めば、歯槽骨が吸収されるのを防げます。ということは、老け顔になるのを防げるのです。若々しい表情を長く保つことができます。

手術という言葉が、治療内容の印象を重々しくしていますが、本当はそんなに大げさなものではありません。オールインフォーのような大がかりな手術でも、およそ12本の歯をつくる手術をするのに、90分くらいですみます。
もちろん患者さんの治療ケースによって、時間が前後しますが、2から3本くらいの小さな手術であれば、30分くらいで終わります。

インプラントでこう変わります⑤

『健康な歯を痛めない』
インプラントが入れ歯やブリッジと決定的に違う点は、健康な歯を疲弊させない、傷めないことです。
入れ歯やブリッジは、歯が悪い、または歯を失ったからそうされているにもかかわらず、残っている健康な歯を傷めていきます。矛盾を感じませんか?

総入れ歯の場合は、そもそも健康な歯がない状態なので、そのような矛盾を考えなくてすみますが、部分入れ歯の場合は、矛盾を感じずにはいられません。
健康な歯にバネをかけて支えるため、時間が経てば、だんだん健康な歯がぐらついてきます。
そうなれば抜歯をせざるを得ません。まさしくこの状況は、被害を拡大させているにすぎないのです。

ブリッジもしかりです。わざわざ隣接する健康な歯を削って、人工の歯を文字通り橋渡しして支えます。
支えの歯には常に負担がかかるため、やはり最終的には健康な歯を抜くことになります。入れ歯もブリッジも、ある意味で生涯リスクを背負ったままであると言えるでしょう。

インプラントでこう変わります④

スポーツもできるようになって、性格が変わる
スポーツと歯。この因果関係はとても深く、切っても切れないものです。一流のスポーツ選手は、パフォーマンスを向上させるために、歯科医院に足しげく通います。噛み合わせを良くするためです。

筋肉を使うとき、人は必ず歯を噛みしめます。ときにはぐっと強く歯を食いしばります。しっかり噛みしめられるからこそ、力を十分に出せるのです。自分は一流のスポーツ選手でないから関係ない、と思うかもしれませんが、誰もがちょっとした運動をする中で、必ず歯を噛みしめています。少し走るだけでもかみしめているものなのです。

歯がなければ思うようにスポーツができません。力が出せなくなりますし、集中力も発揮できなくなります。そうなると、動くことすら億劫になって、不健康に一直線です。
やはり歯のあるなしが、アクティブな生活が送れるかどうかの分かれ目になるのです。
ですから、どうかインプラント治療でしっかり噛めるようになって、スポーツも積極的に楽しんでほしいと思います。

実際、治療者の多くは、前向きな性格になって、よく運動をして、よく食べ、充実した毎日を送っています。歯がある毎日は、体も心も健やかにしてくれるのです。

インプラントでこう変わります③

食事がきちんと出来れば、栄養摂取も十分になります。当然、健康にもつながります。
また、よく噛むことは、老化をゆるやかにする効果があります。
一般的に、歯がない人よりも歯がある人のほうが認知症になりにくいといわれています。
つまり噛む人は、いつまでも若々しくいられるのです。

『見た目がきれいになって、自信が持てる』
いつまでも若く美しくありたい。世の女性の変わらぬ願いでしょう。
男性だって「いつまでも若々しさにあふれていますね」と言われたいものです。
若々しさとは、口元に顕著に現れると考えています。
歯がなければ、口元がすぼまりますし、噛む力が衰えれば、表情筋が弱くなって、顔の肉が下がってしまいます。すると、実年齢よりも上に見られてしまいがちな顔になるのです。

歯があればよく噛めるので、表情筋が引き締まり、口元に張りが出てきます。そして、なによりも歯があれば、思い切り笑う事ができます。
人前で笑顔を見せることが怖くなくなり、むしろ自信を持って笑顔を見せられます。

入れ歯のように不意に外れてしまう心配もありません。インプラントの人工歯は審美性も非常に高く、プロである歯科医師でも、本物の歯と見分けがつかないほどです。

インプラントでこう変わります②

言葉でこの爽快な使用感をお伝えしきれないのが歯がゆいところです。
自分の歯で食べ物をしっかり噛んでいた頃に、時間が巻き戻ったと考えてくださっていいかと思います。歯が復活するのです。決して言い過ぎではありません。

好きな食べ物が思い通りに何でも食べられる気持ちよさは、それまで不自由をされていた方であればあるほど、強く実感していただけるでしょう。
ものをよく噛んで食べるという行為は、人間にとってどれだけ重要で大切なことか。
どれだけ喜ばしいことか。この感動を患者さんに味わっていただきたいからこそ、インプラント治療をおすすめするのです。

たしかに、治療費は入れ歯やブリッジと比較すれば高額です。
ですが、この感激は、金額の多寡ではかれるものではないでしょう。ものをよく噛んで食べる喜びが取り戻せる。だから治療後の患者さんたちから、喜びの声がたくさんよせられるのです。
どうぞ、リンゴを丸かじりしてください。おせんべいや漬物をバリバリ噛んでみてください。肉でもおそれることはありません。ガムだって大丈夫。
なぜならインプラントは、あなたの第2の永久歯なのですから。

インプラントでこう変わります①

自分の歯のようにしっかり噛めて何でもおいしく食べられる
入れ歯やブリッジをされていた方ほど、インプラントでなんでも噛めるようになることが信じられないようです。

入れ歯もブリッジも自分の歯のような実感がなかったため、インプラントがそこまで劇的に変化をもたらす治療であることが、想像できないからです。
食べ物の噛みやすさについてランクづけするならば、一位インプラント、二位ブリッジ、三位入れ歯という順番になるかと思います。

噛むという行為について、入れ歯とブリッジでは結構差があります。ブリッジの方が噛みやすいのですが、どちらにしても違和感はつきまといます。
また、ブリッジとインプラントを比べても、噛む力はインプラントの方がはるかに大きいです。そもそもこの三者を比較することが間違っているかもしれません。とくにインプラントは完全に別物です。
なぜなら、インプラントは、自分の歯を持つのとなんら変わりがないのですから。

インプラントとは人工の歯根⑧

高齢者であっても、全身的疾患もなくお元気であれば、歯を抜く程度の手術には耐えられますから大丈夫です。ただし40歳代、50歳代でも、病気がちでいつも薬を飲んでいるような人は、無理をすべきではありません。

体力面をクリアしてインプラントを希望しても、骨が少ない方の場合には埋め込むべき場所がないので実施が難しくなります。骨の厚みと量が十分であれば、つまり、インプラントを植える土台がしっかりしていますから、問題なく治療ができます。

インプラントの成功確率を高めるには、レーザーや高性能のレントゲンなどを使うことがひとつの要因になっていると思います。これらの機器の手助けがあるからこそ、手術をしたあとでも問題が起こることもなく、歯根部を定着させることができます。

インプラントは、これからもっと広まってくるでしょう。そうなれば費用の面でも安くなると思います。現時点では費用がまだ少しかさみますし、実際に行っている歯科医も限られています。

インプラント治療の技術は、21世紀にはさらにレベルアップしていくでしょう。
たとえ歯がなくなっても、歯を自在に埋め込むことができれば、天然歯に近い状態で噛めるという実用的な恩恵はもちろんのこと、審美的にもそのよさは疑いのないところです。まさにインプラントは人類の夢なのです。

インプラントとは人工の歯根⑦

インプラントについて、定着率が悪いとか、痛みや腫れがひどいとかといった恐怖感をもっている方がおられるようですが、それはまったくの杞憂です。インプラントは1年もてば、10年ぐらいはもつというデータもありますし、手術が成功すれば痛みなどありません。定着しないのは、手術してだいたい1~2週間でわかります。その場合には炎症を止めてから、再度行えば大丈夫です。

では何本までインプラントを入れても大丈夫かということになります。なかには上手な先生がおられて10本以上を一度にという場合もありますが、まずは1本か2本ぐらいずつ手術していくのがよいと考えます。その結果として10本以上実施できるのであればすばらしいことです。

インプラントは、まず1本入れてみて適合したら増やしていくのが、いちばん無理のなり、賢い利用法でしょう。
1本の具合をみて、インプラントが可能な体質だとわかれば、先生と相談してすばらしい自分にあったプランをたてていくことを、おすすめします。
インプラントに対して、体質的に拒否反応を示す患者さんもなかにはおられます。ひどい金属アレルギーの方は少ないのですが、基本的に免疫力があるかないかによって決まるのではないかと推測します。

たとえば、ひどいリウマチの方、骨粗鬆症の方、糖尿病の方などは、手術が成功して全く痛みがなくても、きっちりと定着しないことがあるようです。このような患者さんには、インプラントを支える基礎体力がないように思われます。体に重篤な疾患のある人は、やはり実施が難しくなります。

インプラントとは人工の歯根⑥

不幸にも歯がなくなった場合の手段として、安定させる目的でインプラントを使うという方法があるのです。
二本のインプラントを埋め込み、それにちょうつがいのように留め金をつけます。そして内側に固定装置をつけた入れ歯と、パチンと留められるようにします。このように入れ歯を固定すれば、安定度がぐんと高まり、使い心地はまったく違ってきます。

かっちりと骨にくっついたインプラントの歯が生えて、そこに入れ歯を留めるのですから、いま考えられる総入れ歯のなかではベストだと思います。これなら自費で実施する価値がありますし、患者さんのほうも、生きたお金を使ったといえるでしょう。総入れ歯で噛めずに苦労を強いられている方なら、やってみても損はないでしょう。

しゃべったりするときに舌が押し出すので、下の入れ歯はとくにぴったり合うのが難しいものですが、下の入れ歯がガタガタになったとき、その入れ歯をちょっと留めてくれるインプラントがあれば、非常に噛みやすくなります。とくに、下の義歯を安定させるためにはおすすめします。