インプラントのトラブル・失敗について ~手術後の管理~

前回、前々回のブログで、手術前・手術時におけるインプラント治療の失敗についてお話しさせて頂きましたので、今回は最後の”手術後の管理による失敗”についてお話しいたします。

今回は、前回、前々回にお話しした失敗の原因と比較して、大きく異なっている点が1つあります。
それは、ドクター側に要因があるのではなく、患者様側にも要因があるという点です。

インプラント治療のみならず歯科治療全般に言えることですが、歯科治療は治療して終わりではありません。治療後のケア、メンテナンスが非常に重要で、これは、医院側にサポート体制あることはもちろん必須の条件ですが、何より患者様自身がしっかりと意識を持って取り組まなければいけない事です。

以下は、治療後の管理におけるトラブルの原因について記載していきます。

●インプラント歯周炎
インプラントは人工物ですので、虫歯にはなりません。
ですが、かといってメンテナンスを怠ると、インプラント歯周炎という歯周病に似た症状が出て来てしまいます。
主な原因としては、毎日のブラッシングや歯科医院による定期的なメインテナンスが不十分だったりすることで、歯垢が歯肉とインプラントの間にたまり、そこから歯周病原細菌が増殖し、インプラントを支える顎の骨に感染してしまうといった事が挙げられます。

●喫煙の習慣
これはその研究によってさまざまなのですが、たばこを吸う方のインプラントの失敗率は、タバコを吸っていない人に比べて3.7倍も高いという結果や、失敗率が10パーセント高まるというデータがあります。 主な原因としては、

・たばこに含まれているニコチンによる血行障害
血行が悪くなると、骨や歯肉へ十分に酸素や栄養が行き渡らなくなってしまいます。

・タバコによって発生する一酸化酸素による酸素供給障害
細菌は酸素がない条件下で繁殖しやすい特徴を持っているため、より感染を助長してしまいます。

・インプラントを支える歯肉の回復を阻害
たばこには、新しい組織を作る細胞の増殖を抑制する働きがあり、歯肉や骨の再生を妨げます。

・白血球の活動を抑制
タバコは白血球の活動を抑制し免疫力を低下させてしまうため、細菌が繁殖し感染しやすくなります。

…等といった事が挙げられます。

●インプラント治療直後の過ごし方
インプラント治療直後の過ごし方次第で、初期固定が得られなかったり、感染してしまったり、傷の治りが遅れてしまったりと、経過が悪くなってしまうこともありますので、特に以下のポイントに注意して過ごしましょう。

・処方された薬は必ず飲みきる
痛みが無ければ痛み止めは飲まなくても良いですが、抗生物質や化膿止めは、必ず飲みきる必要があります

・傷口に触れたり、負担をかけたりしない
傷口に刺激を与えると炎症を起こしてしまったり、インプラントに負担がかかってしまいます。
強いブクブクうがいや、頬杖、堅い食べ物の飲食は避け、歯ブラシも傷口に負担をかけないように慎重に行いましょう。

・お風呂、アルコールは数日控える
アルコールを飲んだり、湯船につかたりすると血行が良くなるため、出血の原因になります。
痛みや腫れ、出血が続いているうちは、アルコールの接種や湯船は控え、シャワーですませましょう。

・激しい運動は控える
手術当日はなるべく安静にし、激しい運動は、3日程度は控えてください。痛みや腫れ、出血を再発させてしまう原因になります。
また、スポーツや重い物を持ったりする際に歯を食いしばるのも、インプラントに過度の負担を与えてしまうので、極力控えてください。

ご自身の体をご自身で守っていくためにも、患者様自身がしっかりとした知識をつけ、インプラント治療において適切な歯科医院を選定して頂きたいと思います。

当院では、インプラント治療を担当した歯科医師自身と担当衛生士がチームを組んで、丁寧にケア・メンテナンスしていきます。

インプラントのトラブル・失敗について ~手術時の医療ミス~

前回のブログで、手術前の診断、設計によるインプラント治療の失敗について書かせて頂きましたので、今回は、手術時の医療ミスによる失敗の原因についてお話しさせて頂きます。

手術時の医療ミスに関しては、どんなに技術を持ち、経験を積んだドクターであっても、人間がする手術である以上100%防げるというわけではありません。

これは、インプラント治療にだけ言えることではなく、従来の治療法においてもいえる事です。

インプラント治療は、従来の治療法と比べても、非常に安全でかつ余地性、機能性に富んだ治療法なのですが、本当にインプラント治療を行えるドクターは、実はまだまだごく少数であるという現状もあります。
確かな技術と知識を身につけ、多くの経験を積んだ歯科医師に、適切な材料と環境で行ってもらうためには、患者様自身も適切な歯科医師を選ぶ目を持たなければいけません。

インプラント治療が失敗してしまう原因・要因を患者様自身もしっかりと把握したうえで、信頼できる歯科医師を選ぶことが大切だと思います。

以下は、手術時のトラブル、失敗の主な原因です。
●手術時の血管や神経の損傷
血管を傷つけてしまうと大量出血を引き起し、また神経を傷つけてしまうと、麻痺や感覚異常が合併症として表れてしまいます。
事前のCT撮影はもちろん、血管や神経などがどこを走っているのか、ドクター自身がしっかりと理解した上で手術を行う必要があります。
また、ドクターの技術的な問題により、正確な位置、正確な深さにインプラントを打ち込む事が出来ずに血管や神経を損傷してしまうケースも多く見かけますので、ドクターの実績、経験もしっかりと調べたうえで受信することをおススメします。

●インプラントが骨に固定しない
インプラントは、骨に埋め込んでから一定の期間を経て、骨に固定(癒着)することで、歯の根と同じように被せ物を支えられるようになりますが、まれにインプラント体が骨に固定せず、抜け落ちてしまうことがあります。

考えられる原因としては
・人工歯根を装着する骨の量、密度が不十分であった
・手術時の歯科医の技量不足
・手術時の衛生状態
等が挙げられますが、どれも手術前のCTによる骨の量の把握や、技師の経験不足、衛生に対する意識不足から発生しえる失敗です。

●手術時の感染
信じられないことですが、最近はインプラントを手術室ではなく、一般の治療室などの衛生状態が不十分な状況で行われるケースも多いようです。
インプラント治療は外科的手術を伴うため、通常の歯科治療以上に衛生面での配慮が必要です。
手術中に使う器具はもちろん、手術衣も完全滅菌して手術に臨まなけばいけません。
専用オペ室があるかどうか、消毒滅菌へのこだわりなどをチェックして医院選びを行うのがポイントです。

当院では、20年の実績と経験をもとに、最適な材料と環境でのインプラント治療を提供しております。

インプラントのトラブル・失敗について ~手術前の診断・設計ミス~

皆さん、インプラントについてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

高い、痛い、怖い、危険、…等々、さまざまかと思いますが、最近、インプラントに関する事故やトラブルがニュースで流れてからは、インプラントにネガティブなイメージを持つ人が増えてきたように感じます。

インプラントの事故と言えば、2007年、都内の歯科医院でインプラント治療による死亡事故が起きました。
インプラントの手術中に、ドリルで顎の骨を貫通させた上で動脈を切断してしまい、その後もガーゼで止血しただけで手術を続けてしまったために、大量出血を招いて窒息し、死亡してしまったものです。

また、浜松市で前歯にインプラント治療を受けた女性も、損害賠償を求める訴訟を起こしています。
インプラントを誤った位置に埋め込まれたため、激しい頭痛や顔面の腫脹が生じてしまい、食事も外出も出来なくなってしまったとのこと。
治療した歯科医は「失敗ではない」と主張したものの、その後受診した7か所の歯科医院で全て「撤去が必要」と診断されたため、女性は「自分が訴えなければ、今後さらに被害者が増え続ける」と訴訟を決意したそうです。

更には、愛知県の豊橋市でインプラントの使い回し事件も発生しました。
患者に埋入した後に予後が悪くて脱落してしまったインプラントを、別の患者に入れていたという、信じられないような事件です。

インプラント治療により、快適な人生を手に入れている人も多くいる中、なぜこのような事故が起きてしまっているのでしょうか?

一言で言えば「歯科医院選びを間違えててまった。」ということではないかと思います。
上記のようなインプラントにまつわる事故やトラブルは、技術力や意識の低い歯科医が引き起こした失敗だと思います。

では、インプラントの失敗、トラブルの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

大きく分けると、以下の3つになります。

1、手術前の診断・設計のミス、カウンセリング不足によるもの
2、手術時の医療ミスによるもの
3、手術後の管理によるもの

たとえは、上記1のトラブルの原因としては、下記のようなものがあります。

●診断の甘さ
そもそもの歯を失ってしまった原因が、歯周病やかみ合わせのアンバランスなどであった場合、その原因を取り除かずに、その失った部分に単純にインプラントを入れても、根本的な解決にならないばかりか、より重大なトラブルが発生してしまう事があります。
なぜ歯を失う事になってしまったのかの原因をしっかりと把握し、その原因の根本解決をした上でバランスの良いかみ合わせを創造するための総合的な治療計画が必要です。

●位置設計ミスによる、かみ合わせの異常
インプラントの手術には、CTスキャンなどの 骨の事前診査が不可欠ですが、この診査が不十分な場合、手術時に歯茎を開いてみたらインプラントを入れる予定の位置に骨が十分に無かった、という事も起こりえます。
そうなると、その場で予定とは違う場所や方向にインプラントを入れざるをえなくなりますので、結果としてインプラントの被せ物の位置が理想的なかみ合わせではなくなってしまいます。
それにより、うまく噛めない、かぶせ物が頻繁に外れる、と言ったトラブルが発生してしまいます。

●審美障害
特に前歯のインプラントの場合、患者様の期待していた仕上がりと実際の仕上がりが異なってしまう場合があります。
事前に歯科医師としっかりと話し合い、イメージを共有した上で治療を進めて行かないと、あとで大きな失望をしてしまう事になってしまいます。

上記はほんの一部です。
満足のいくインプラント治療を受けるには、事前の話し合い、診断、計画も非常に重要になってくるのです。

当院では、充分なインフォームド・コンセントの元、
20年の実績により本当に信頼できる治療をお届けしております。